耳の後遺障害

  • 耳に関する後遺障害の症状や等級認定のポイントを弁護士が解説します!

耳の後遺障害は大きく3つがあります

耳の後遺障害耳の後遺障害は、事故によって聞こえにくくなった①聴力に関する障害と、耳そのものが失われた場合の②耳殻(いわゆる耳の部分)の欠損障害に大きく区分されています。

また、自賠法施行令別表第2備考6では「各等級の後遺障害に該当しない後遺障害であって、各等級の後遺障害に相当するものは、当該等級の後遺障害とする」と定められています。このことから、③耳鳴りや耳漏については、その障害の程度に応じた後遺障害の等級が認定されています。

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(1)聴力障害について

交通事故によって聴力障害を生じて聞こえが悪くなった場合、後遺障害等級認定の可能性があります。後遺障害等級の認定には、本当に事故によって聴力障害になってしまったのであり、以前から聴覚障害があったところを事故によって悪化させたものではない、または加齢による聴覚障害ではないといったことについて医学的な証明が求められます。

両耳の聴力障害で認定可能性のある等級
等級 症状
4級3号 両耳の聴力を全く失ったもの
6級3号 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
6級4号 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
7級2号 両耳聴力が40cm以上の距離では,普通の話声を解することができない程度になったもの
7級3号 1耳の聴力を全く失い,他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することがでない程度になったもの
9級7号 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
9級8号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり,他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
10級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの
11級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの
片耳の聴力障害で認定可能性のある等級
等級 症状
9級9号 1耳の聴力を全く失ったもの
10級6号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの
11級6号 1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの
14級3号 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

聴力障害が認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で
年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
4級3号が認定された場合
具体的な症例 両耳で「ピー」といった単純な音を90デシベル以上の音量なら聴き取ることができる状態。または、両耳で単純な音を80デシベル以上で聞き取ることができ、かつ、言葉のような複雑な音を聞き取る能力(最高明瞭度)が30%以下になった状態
後遺障害の慰謝料 1670万円
後遺障害の逸失利益 8082万9360円
=600万円(年収)×0.92(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 9752万9360円

6級3号が認定された場合
具体的な症例 両耳で「ピー」といった単純な音を80デシベル以上の音量なら聴き取ることができる状態。または、両耳で単純な音を50デシベル以上・80デシベル未満で聞き取ることができ、かつ、言葉のような複雑な音を聞き取る能力(最高明瞭度)が30%以下になった状態
後遺障害の慰謝料 1180万円
後遺障害の逸失利益 5886万4860円
=600万円(年収)×0.67(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 7066万4860円

6級4号が認定された場合
具体的な症例 「ピー」といった単純な音を、一方の耳では90デシベル以上で聞き取れ、もう片方の耳では70デシベル以上で聞き取ることができる状態
後遺障害の慰謝料 1180万円
後遺障害の逸失利益 5886万4860円
=600万円(年収)×0.67(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 7066万4860円

7級2号が認定された場合
具体的な症例 両耳で「ピー」といった単純な音を70デシベル以上なら聞き取れる状態。または、両耳で50デシベル以上の単純な音を聞き取ることができ、言葉のような複雑な音を聞き取る能力(最高明瞭度)が50%以下になった状態
後遺障害の慰謝料 1000万円
後遺障害の逸失利益 4920万480円
=600万円(年収)×0.56(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 5920万480円

7級3号が認定された場合
具体的な症例 「ピー」といった単純な音を、一方の耳では90デシベル以上で聞き取れ、もう片方の耳では60デシベル以上で聞き取ることができる状態
後遺障害の慰謝料 1000万円
後遺障害の逸失利益 4920万480円
=600万円(年収)×0.56(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 5920万480円

9級7号が認定された場合
具体的な症例 両耳で「ピー」といった単純な音を60デシベル以上の音量なら聴き取ることができる状態。または、両耳で単純な音を50デシベル以上で聞き取ることができ、かつ、言葉のような複雑な音を聞き取る能力(最高明瞭度)が70%以下になった状態
後遺障害の慰謝料 690万円
後遺障害の逸失利益 3075万300円
=600万円(年収)×0.35(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 3765万300円

9級8号が認定された場合
具体的な症例 「ピー」といった単純な音を、一方の耳では80デシベル以上で聞き取れ、もう片方の耳では50デシベル以上で聞き取ることができる状態
後遺障害の慰謝料 690万円
後遺障害の逸失利益 3075万300円
=600万円(年収)×0.35(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 3765万300円

9級9号が認定された場合
具体的な症例 片方の耳で「ピー」といった単純な音を90デシベル以上で聴き取ることができる状態
後遺障害の慰謝料 690万円
後遺障害の逸失利益 3075万300円
=600万円(年収)×0.35(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 3765万300円

10級5号が認定された場合
具体的な症例 両耳で「ピー」といった単純な音を50デシベル以上の音量なら聴き取ることができる状態。または、両耳で単純な音を40デシベル以上・80デシベル未満で聞き取ることができ、かつ、言葉のような複雑な音を聞き取る能力(最高明瞭度)が70%以下になった状態
後遺障害の慰謝料 550万円
後遺障害の逸失利益 2372万1660円
=600万円(年収)×0.27(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 2922万16660円

10級6号が認定された場合
具体的な症例 片方の耳で「ピー」といった単純な音を80デシベル以上90デシベル未満で聴き取ることができる状態
後遺障害の慰謝料 550万円
後遺障害の逸失利益 2372万1660円
=600万円(年収)×0.27(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 2922万16660円

11級5号が認定された場合
具体的な症例 両耳で「ピー」といった単純な音を40デシベル以上で聴き取ることができる状態
後遺障害の慰謝料 420万円
後遺障害の逸失利益 1757万1600円
=600万円(年収)×0.20(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 2177万1600円

11級6号が認定された場合
具体的な症例 片方の耳で聴き取ることができる音の大きさが70デシベル以上80デシベル未満になった状態。または、両耳で単純な音を50デシベル以上で聞き取ることができ、かつ、言葉のような複雑な音を聞き取る能力(最高明瞭度)が50%以下になった状態
後遺障害の慰謝料 420万円
後遺障害の逸失利益 1757万1600円
=600万円(年収)×0.20(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 2177万1600円

14級3号が認定された場合
具体的な症例 片方の耳で「ピー」といった単純な音を40デシベル以上70デシベル未満で聴き取ることができる状態
後遺障害の慰謝料 110万円
後遺障害の逸失利益 439万2900円
=600万円(年収)×0.05(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 549万2900円

(2)耳殻の欠損障害について

耳殻(じかく)は耳介(じかい)とも呼ばれ、いわゆる「耳」の部分を指します。この耳殻の部分が事故によって欠損した場合は、後遺障害が認定される可能性があります。後遺障害の等級では、片方の耳の軟骨部分の1/2以上を欠損した場合を「1耳の耳殻の大部分を欠損したもの」として12級4号が定められています。

両耳とも大部分の欠損をした場合は、併合により11級の後遺障害等級に該当します。また、耳というのはふだんから見える部分なので、欠損したことでそれまでとは見た目が変わった場合には外貌醜状の後遺障害として認定されることも可能です。外貌醜状の後遺障害等級は7級~12級となっていて、耳殻の欠損よりも高い等級が認定されることになります。

また、外貌醜状の場合は耳殻の1/2に達していない欠損でも外貌醜状に該当することがありますが、両耳の欠損があった場合でも併合として高い等級が認定されることはなく、総合的に外貌醜状として判断されることになります。

耳殻の欠損に関する認定可能性のある等級
等級 症状
12級4号 1耳の耳介の大部分を欠損したもの

耳の軟骨部の2分の1以上が欠けてなくなった場合、後遺障害等級12級4号の「1耳の耳殻の大部分を欠損したもの」に該当します。 しかし、見た目の意味から醜状障害として判断すると後遺障害等級7級12号にあたり、こちらの方が上級のため優先されて級が決まります。欠損の範囲が2分の1に達しなくても、外貌の醜状と評価されれば12級14号が認定されます。


耳殻の欠損が認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で
年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
醜状障害として7級12号が認定された場合
具体的な症例

外貌(日常生活で目に見える、頭、顔、首などの部位)が、以下のⅰ)~ⅴ)のいずれかの状態となったものは7級12号に該当します。

  • ⅰ)頭にてのひら大(指の部分は含まず)以上の傷あと残った状態。または、頭がい骨が手のひら大以上に欠けてなくなった状態(ただし、その部分に人工骨がはめ込まれていれば、等級の対象外です)
  • ⅱ)顔にニワトリの卵より大きな傷あと、または、10円硬貨より大きな窪みが残った状態
  • ⅲ)首にてのひら大以上の傷あとが残った状態
  • ⅳ)耳の軟骨部の2分の1以上が欠けてなくなった状態
  • ⅴ)鼻の軟骨部の全部又は大部分が欠けてなくなった状態
後遺障害の慰謝料 1000万円
後遺障害の逸失利益 4920万480円
=600万円(年収)×0.56(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 5920万480円

12級4号が認定された場合
具体的な症例 片方の耳の軟骨部が2分の1以上欠けてなくなり、顔の見た目が変わってしまった状態
後遺障害の慰謝料 290万円
後遺障害の逸失利益 1230万120円
=600万円(年収)×0.14(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1520万120円

醜状障害として12級14号が認定された場合
具体的な症例

外貌(日常生活で目に見える、頭、顔、首などの部位)が、以下のⅰ)~ⅴ)のいずれかの状態となったものは12級14号に該当します。

  • ⅰ)頭にニワトリの卵より大きな傷あとが残った状態。または、頭がい骨がニワトリの卵より大きな面積で欠けてなくなった状態(ただし、その部分に人工骨がはめ込まれていれば、等級の対象外です)
  • ⅱ)顔に10円硬貨より大きな傷あと、または、長さ3cm以上の線のような傷跡が残った状態
  • ⅲ)首にニワトリの卵より大きな傷あとが残った状態
  • ⅳ)耳の軟骨部の一部が欠けてなくなり、顔の見た目が変わった状態
  • ⅴ)鼻の軟骨部の一部が欠けてなくなり、顔の見た目が変わった状態
後遺障害の慰謝料 290万円
後遺障害の逸失利益 1230万120円
=600万円(年収)×0.14(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1520万120円

(3)耳鳴りや耳漏について

交通事故によって耳鳴りや耳漏になった場合、後遺障害として認定される可能性があります。耳鳴りは、音が鳴っていない状態でも何かザワザワとした音を感じてしまう状態のことをいいます。「ピッチ・マッチ検査」や「ラウドネス・バランス検査」といった検査を用いて症状を確認します。この検査によって、どの程度の音の高さの耳鳴りが、どのくらいの音量で聞こえているのかを測定できます。

30dB以上の難聴をともない、著しい耳鳴りを常時残すことが他覚的検査により立証可能なものは12級相当、30dB以上の難聴をともない、常時耳鳴りがあることが合理的に説明できるもの14級相当と認定されます。12級相当の「著しい耳鳴り」とは、検査によって耳鳴りが存在することが医学的に証明できる場合のことを指します。14級相当の「常時耳鳴りがある」については、昼間は自覚できる耳鳴りがなく、夜だけ耳鳴りが発生する場合も「常時」とされています。

耳漏とは、鼓膜部分に穴が開いてしまい、内部から分泌液が流れ出てしまう状態のことをいいます。外科手術をしても耳漏が完治せず、さらに30dB以上の難聴をともなうときは後遺障害等級認定の可能性があります。30dB以上の難聴で、常時耳漏を残すものは12級相当、30dB以上の難聴で、耳漏を残すものは14級相当と規定されています。

耳鳴り、耳漏とも、オージオメーター検査を受け、オージオグラムの書面を後遺障害診断書に添付しない限り、認定されることはありません。 また、内耳を損傷することによる平衡機能障害は神経系統の機能の障害で後遺障害等級が認定されます。それに加えて聴力障害が認められる場合は、併合して等級が認定されます。外傷による外耳道(耳の穴)の高度な狭窄のみで、耳漏を伴わないものは14級相当となります。

耳鳴りや耳漏の認定可能性のある等級
等級 症状
12級相当 30dB以上の難聴を伴い、著しい耳鳴りを常時残すことが他覚的検査により立証可能なもの
30dB以上の難聴で、常時耳漏を残すもの
14級相当 30dB以上の難聴を伴い、常時耳鳴りを残すもの
30dB以場の難聴で、耳漏を残すもの

耳鳴りや耳漏れが認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で
年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
12級相当が認定された場合
具体的な症例 30dB以上の難聴を伴い、著しい耳鳴りを常時残すことが他覚的検査により立証可能なもの
30dB以上の難聴で、常時耳漏を残すもの
後遺障害の慰謝料 290万円
後遺障害の逸失利益 1230万120円
=600万円(年収)×0.14(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1520万120円

14級相当が認定された場合
具体的な症例 30dB以上の難聴を伴い、常時耳鳴りを残すもの
30dB以場の難聴で、耳漏を残すもの
後遺障害の慰謝料 110万円
後遺障害の逸失利益 439万2900円
=600万円(年収)×0.05(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 549万2900円

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