上肢の後遺障害

  • 上肢(肩から手まで)に関する後遺障害の症状や等級認定のポイントを弁護士が解説します!

上肢の後遺障害は大きく3つに分類されます

上肢の後遺障害後遺障害の等級認定において「上肢」とは、肩関節・肘関節・手関節(手首)の3つの関節と手指を含めた部分を指します。

また、肩関節・肘関節・手関節の3つの関節部分を「上肢3大関節」と呼び、手関節から先の手の指部分については「手指」として、上肢3大関節とは別の等級認定基準が用意されています。

欠損障害

上肢(肩から手まで)の一定部分を失ったことに関する後遺障害

機能障害

上肢3大関節(肩関節、肘関節、手関節)の動きが悪くなったことに関する後遺障害

変形障害

上肢の骨折した部分が固まらない、または曲がったままで固まってしまったことに関する後遺障害

該当する症状をクリックしてください

(1)欠損障害について

交通事故を原因として、上肢やその一部、手指が失われてしまった状態を上肢欠損障害と呼びます。上肢欠損障害の後遺障害等級認定基準は以下の項目となっています。

失った腕の部位

  • ひじから肩の間で腕が切断された場合、両腕の場合は1級3号、片腕の場合は4級4号が該当します。

    ひじから肩

  • 手首からひじの間で腕が切断された場合、両腕の場合は2級3号、片腕の場合は5級4号が認定されます。

    手首からひじ

上肢の欠損障害による後遺障害等級
等級 症状
1級3号 両上肢をひじ関節以上で失ったもの
2級3号 両上肢を手関節以上で失ったもの
4級4号 1上肢をひじ関節以上で失ったもの
5級4号 1上肢を手関節以上で失ったもの

上肢の欠損障害が認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で

年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
1級3号が認定された場合
具体的な症例 両腕がひじから肩の間で切断され、失ってしまった状態
後遺障害の慰謝料 2800万円
後遺障害の逸失利益 8785万8000円
=600万円(年収)×1(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1億1585万8000円

2級3号が認定された場合
具体的な症例 両腕が手首からひじの間で切断され、失ってしまった状態
後遺障害の慰謝料 2370万円
後遺障害の逸失利益 8785万8000円
=600万円(年収)×1(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1億1155万8000円

4級4号が認定された場合
具体的な症例 片腕がひじから肩の間で切断され、失ってしまった状態
後遺障害の慰謝料 1670万円
後遺障害の逸失利益 8082万9360円
=600万円(年収)×0.92(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 9752万9360円

5級4号が認定された場合
具体的な症例 片腕が手首からひじの間で切断され、失ってしまった状態
後遺障害の慰謝料 1400万円
後遺障害の逸失利益 6940万7820円
=600万円(年収)×0.79(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 8340万7820円

(2)機能障害について

上肢の機能障害とは、関節の全部や一部について「上肢の用を廃したもの」、「関節の用を廃したもの」、「関節の機能に著しい障害を残すもの」、「関節の機能に障害を残すもの」の4つの状態に分けられ、以下の6等級が後遺障害等級認定基準として定められています。

上肢の機能障害による後遺障害等級
等級 症状
1級4号 両上肢の用を全廃したもの
5級6号 1上肢の用を全廃したもの
6級6号 1上肢の3大関節中の2関節の用を廃したもの
8級6号 1上肢の3大関節中の1関節の用を廃したもの
10級10号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に著しい障害を残すもの
12級6号 1上肢の3大関節中の1関節の機能に障害を残すもの

上肢の機能障害が認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で

年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
1級4号が認定された場合
具体的な症例 3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)のすべてが強直し、かつ、手指がすべて使えなくなった状態や、上腕神経叢の完全麻痺の状態
後遺障害の慰謝料 2800万円
後遺障害の逸失利益 8785万8000円
=600万円(年収)×1(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1億1585万8000円

5級6号が認定された場合
具体的な症例 3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)がまったく動かない状態や、完全に麻痺した状態
後遺障害の慰謝料 1400万円
後遺障害の逸失利益 6940万7820円
=600万円(年収)×0.79(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 8340万7820円

6級6号が認定された場合
具体的な症例 3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)のうち、2つの関節が全く動かない状態や、完全に麻痺した状態
後遺障害の慰謝料 1180万円
後遺障害の逸失利益 5886万4860円
=600万円(年収)×0.67(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 7066万4860円

8級6号が認定された場合
具体的な症例 3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)のうち、1つの関節が全く動かない状態や、完全に麻痺した状態
後遺障害の慰謝料 830万円
後遺障害の逸失利益 3953万6100円
=600万円(年収)×0.45(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 4783万6100円

10級10号が認定された場合
具体的な症例 3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)のうち、1つの関節を動かせる範囲が2分の1以下になってしまった状態
後遺障害の慰謝料 550万円
後遺障害の逸失利益 2372万1660円
=600万円(年収)×0.27(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 2922万16660円

12級6号が認定された場合
具体的な症例 3大関節(肩関節・ひじ関節・手関節)のうち、関節を動かせる範囲が4分の3以下になってしまった状態
後遺障害の慰謝料 290万円
後遺障害の逸失利益 1230万120円
=600万円(年収)×0.14(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1520万120円

(3)変形障害について

事故を原因として上肢に「偽関節を残すもの」と「長管骨にゆ合不全を残したもの」が残った場合、変形障害として後遺障害等級認定の可能性があります。 「偽関節」は仮関節とも呼び、骨折が治ってもそれまでとは違う状態で骨が固まってしまい、異常な方向へ動くようになってしまったことを指します。

「長管骨」とは、長い棒状の骨のこと。上肢では上腕骨、橈骨、尺骨です。通常の治療期間を過ぎてもこの長管骨の骨がつながらなかった場合、「長管骨にゆ合不全を残したもの」となります。

上肢の変形障害が認定可能性のある等級
等級 症状
7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級8号 1上肢に偽関節を残すもの
12級8号 長官骨に変形を残すもの

上肢の変形障害が認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で

年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
7級9号が認定された場合
具体的な症例 片腕の骨折した部分が十分にゆ合(付着)せず、本来の動きとは違う方向へ曲がってしまうため(偽関節)、常に硬性補装具を必要としている状態
後遺障害の慰謝料 1000万円
後遺障害の逸失利益 4920万480円
=600万円(年収)×0.56(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 5920万480円

8級8号が認定された場合
具体的な症例 片腕の骨折した部分が十分にゆ合(付着)せず、本来の動きとは違う方向へ曲がってしまうため(偽関節)、必要に応じて硬性補装具を使用する状態
後遺障害の慰謝料 830万円
後遺障害の逸失利益 3953万6100円
=600万円(年収)×0.45(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 4783万6100円

12級8号が認定された場合
具体的な症例 上腕骨が15度以上曲がってしまった状態や、上腕骨の直径が3分の2以下に縮小してしまった状態。または、上腕骨の骨折した部分が、50度以上ねじれた状態でゆ合(付着)してしまった状態(回旋変形ゆ合)
後遺障害の慰謝料 290万円
後遺障害の逸失利益 1230万120円
=600万円(年収)×0.14(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1520万120円

後遺障害等級認定を得るために大切なこと

弁護士後遺障害を認定されるには、自覚症状を訴えるだけでは不十分です。 上肢の後遺障害であれば、該当部分の欠損状況を撮影したレントゲン写真や可動域制限が記載されている医師からの診断書など、客観的に分かる医学的資料がまず必要です。次に、障害の内容が事故直後から症状固定の後まで、一貫して同じものであることが求められます。

事故後、一定期間を経過してから生じた症状については、事故とは関係のないものという疑いがかかります。さらに、機能障害については整形外科への通院日数の多さも適切に治療を行っていたかという判断材料になり、6ヶ月というのがひとつの基準です。

これらの内容について、過不足のない後遺障害診断書が作成されていることが条件です。もちろん、それぞれの症状に合わせてさらに多くのる医療的証拠等も提出します。後遺障害等級認定は書面審査となるため、一概に作成すればよいというわけではありません。後遺障害等級認定を踏まえた内容で作成していく必要があります。適切な後遺障害等級認定を獲得するためには、治療方針も含めて事前の分析と準備が不可欠なのです。

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