高次脳機能障害

高次脳機能障害について

高次脳機能障害について交通事故による障害は目に見える範囲だけには限りません。脳にダメージを負うと、記憶力や集中力が低下したり、感情のコントロールが難しくなるといった症状が出ることがあります。

こういったことを原因として、仕事を継続することが難しくなることもありえます。脳が持つたくさんの機能のうち、認知、記憶、思考、注意の持続等、いわゆる人間らしさを司っている脳の働きを「高次脳機能」と呼び、脳にダメージを負ったことを原因として高次脳機能に何かしらの障害が生じてしまった状態を「高次脳機能障害」と呼びます。

高次脳機能障害は目に見える範囲のケガではないため、周囲の人からは気づかれにくい障害です。被害者本人も「なんとなくおかしい」という感覚のまま過ごしてしまうことがあるので、十分に気をつける必要があります。

 
高次脳機能障害の認定可能性のある等級
等級 症状
1級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要する
2級1号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、随時介護を要するもの
3級3号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、終身労務に服することができないもの
5級2号 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、特に軽易な労務以外の労務に服することができないもの
7級4号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、軽易な労務以外の労務に服することができないもの
9級10号 神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの
12級13号 局部に頑固な神経症状を残すもの
14級9号 局部に神経症状を残すもの

高次脳機能障害が後遺障害認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で

年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
1級1号が認定された場合
具体的な症例 身体を動かすといった機能は残っていても、高度の脳機能障害のために生活に必要な身の回りすべてに介護を必要としている状態
後遺障害の慰謝料 2800万円
後遺障害の逸失利益 8785万8000円
=600万円(年収)×1(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1億1585万8000円

2級1号が認定された場合
具体的な症例 著しく判断力が低下したり、情緒が不安定になったりするなど、ひとりでは外出することができず、生活範囲が自宅内に限定されている状態。身体動作としては、食事・入浴・用便・更衣等などを行うことができても、家族からの声掛けや見守りを欠かすことができない状態。
後遺障害の慰謝料 2370万円
後遺障害の逸失利益 8785万8000円
=600万円(年収)×1(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1億1155万8000円

3級3号が認定された場合
具体的な症例 自宅周辺をひとりで外出できるなど、自宅以外へも行動の範囲を拡げることができ、声掛けや介助なしでも食事・入浴・用便・更衣等の動作を行える状態。しかし、記憶や注意力、新しいことを学習する能力や、障害の自己認識、円滑な対人関係維持能力などには著しく能力が低下し、一般的な仕事をこなすことがまったくできないか、困難な状態。
後遺障害の慰謝料 1990万円
後遺障害の逸失利益 8785万8000円
=600万円(年収)×1(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1億775万8000円

5級2号が認定された場合
具体的な症例 単純なくり返し作業などであれば一般的な仕事も可能だが、新しい作業を学習できなかったり、環境が変わると作業を継続できなくなるなどの障害がある状態。そのため、一般の就労者と比較すると作業能力が著しく低く、仕事をする際には周囲の理解と援助を欠かすことができない状態。
後遺障害の慰謝料 1400万円
後遺障害の逸失利益 6940万7820円
=600万円(年収)×0.79(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 8340万7820円

7級4号が認定された場合
具体的な症例 一般的な仕事であれば対応することができるが、効率よく作業を行うことができない、約束を忘れてしまう、単純なミスを頻発するなどの理由から、一般の就労者と同じように作業を行ったり、上達することができない状態。
後遺障害の慰謝料 1000万円
後遺障害の逸失利益 4920万480円
=600万円(年収)×0.56(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 5920万480円

9級10号が認定された場合
具体的な症例 一般的な仕事であれば対応することができるが、問題が起きたときに理解し、解決する能力などに制限があり、自ら作業効率を上げることや作業を持続しようとする力などに問題がある状態。
後遺障害の慰謝料 690万円
後遺障害の逸失利益 3075万300円
=600万円(年収)×0.35(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 3765万300円

12級13号が認定された場合
具体的な症例 一般の就労者に比べて、意思疎通能力・問題解決能力・作業負荷に対する持続力・持久力・社会行動能力のいずれかひとつ以上の能力がわずかに失われている状態。
後遺障害の慰謝料 290万円
後遺障害の逸失利益 1230万120円
=600万円(年収)×0.14(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1520万120円

14級9号が認定された場合
具体的な症例 レントゲンやMRI・CTスキャン(MRI・CTスキャン詳細)などの画像所見では異常が認められないものの、脳に損傷のあるであろうことが医学的見地から合理的に推測でき、わずかな能力喪失が認められる状態。 
後遺障害の慰謝料 110万円
後遺障害の逸失利益 439万2900円
=600万円(年収)×0.05(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 549万2900円

高次脳機能障害に見られる主な症状とは

記憶障害

  •  仕事内容など、新しいことを覚えることができない
  •  ほんの少し前に話していたことでも忘れてしまう

注意障害

  •  すぐに気が散ってしまい、集中することができない
  •  単純な作業でもミスを繰り返してしまう

半側空間無視

  •  見えている範囲の右半分または左半分の空間しか認識することができない
  •  認識できていない空間の食物に気づかず、半分を残してしまう

失語症

  •  喋ろうとしても言葉が出てこなく、口ごもってしまう
  •  話しかけられても長文や早口だと理解できない

失認症

  •  よく知っている人の顔を見て誰なのかが分からない
  •  絵や物を見ても、それがどんなものを表しているのかが分からない

社会的行動障害

  •  感情のコントロールができず、突然怒ったり泣いたりする
  •  欲求のコントロールができず、過食や浪費をしてしまう

地誌的障害

  •  よく知っている道のはずなのに迷ってしまう
  •  自分がどこにいるのか分からなくなる

高次脳機能障害で適正な後遺障害等級認定を受けるには?

高次脳機能障害が適正に後遺障害として認定されるには、以下の3点が重要となります。

  • 医師の診断名が高次脳機能障害を示すものであること
  • レントゲンやMRI・CTスキャンなどの画像所見において脳に異常が認められること
  • 交通事故の直後から一定の期間において意識障害があったこと

それぞれを詳しく説明します。

医師の診断名が高次脳機能障害を示すものであること

まず最初の要件として、医師からの診断名が高次脳機能障害を示すものであることが、後遺障害等級認定には必要となります。高次脳機能障害を示す代表的な診断名には、以下のようなものがあります。

  •  高次脳機能障害
  •  びまん性軸索損傷
  •  びまん性脳損傷
  •  急性硬膜外血腫
  •  外傷性くも膜下血腫
  •  脳室内出血

もちろん、これら以外の診断名でも脳に損傷を受けたということが分かれば問題ありませんが、そうでない場合は認定はされなくなります。治療中の診断名が高次脳機能障害の診断名として該当するかどうか分からない場合は、当事務所までご相談ください。

画像所見において脳に異常が認められること

交通事故で頭部に衝撃を受けた場合、レントゲンやMRI・CTスキャンなどで頭部の画像を撮影して検査が行われます。この画像において、脳内出血が認められるなどの異常が確認されていることが、原則的に必要となります。

事故の直後から一定の期間において意識障害が継続していたこと

交通事故の直後から、重大な意識障害であれば6時間以上継続していたか、軽度の意識障害であれば1週間以上継続して継続していたかという点も、原則として必要になります。意識障害がなかった場合や、期間が極端に短かった場合は後遺障害等級認定の要件を満たしません。


高次脳機能障害で後遺障害等級認定を受けるポイント

早期発見と専門医による診断

交通事故によって頭部へ衝撃を受けたことによって発症する高次脳機能障害は、早期発見と専門医による診断がとても重要です。対応が遅れると、症状が悪化するだけでなく、適正な後遺障害等級認定を受けられなくなる可能性があります。自覚症状のみではなく、周囲のご家族などから「いつもと違った感じはないか」を確認し、少しでもおかしいときにはすぐに専門医による診断を受けましょう。

画像検査が重要

「なんとなくおかしい」というのを客観的に判断するために、MRI・CTスキャンなどの画像所見は非常に重要となります。ほかにも、神経心理学検査によって脳の障害を調べることもできますので、なるべく早い時期に検査を受けることが大切です。

リハビリを適切に行う

高次脳機能障害の治療には早期からのリハビリを適切に行うことが大切です。しかし、高次脳機能障害は症状が多くあるので、医師によってはリハビリの指導をしていないことがあります。事故後の経過がどのようなものであったか、リハビリの経過と合わせて記録しておくことが後遺障害等級認定を適正に受けるためには重要です。リハビリは必ず行いましょう。

後遺障害診断書を適切な内容で作成

医師は治療をすることが専門ですので、後遺障害等級認定を踏まえた内容で診断書を作成していない場合があり、結果として認定の内容が変わってくることがあります。後遺障害診断書は後遺障害認定において最も重要な書類ですので、信頼できる専門の医療機関を選び、治療の段階から後遺障害診断書を作成してもらうことが大切です。

高次脳機能障害をお持ちの方、介護をされているご家族の方へ

高次脳機能障害をお持ちの方、介護をされているご家族の方へ高次脳機能障害は目に見える範囲のケガではないため、周囲の人からは気づかれにくい障害です。被害者本人も「なんとなくおかしい」という感覚のまま過ごしてしまうことがあるので、十分に気をつける必要があります。

高次脳機能障害によって精神的な負担が増えると、鬱病やほかの病気が発症するリスクもあります。脳という重要な部位でありながら、高次脳機能障害は立証が難しいために弁護士のサポートがないと正当な賠償を得ることが難しくなっています。

ぜひ、当事務所までご相談ください。


高次脳機能障害の解決事例

事例:1 示談交渉で賠償金額を2倍以上に上げることができた事例

提示額 約3,030万円
示談額 約6,400万円 (2.11倍)
増額額 約3,370万円増額
傷病名・受傷部位 頭部外傷,外傷性硬膜下血腫,外傷性クモ膜下出血
解決方法(示談・訴訟) 示談

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