醜状障害

傷跡も後遺障害等級認定の対象となる可能性があります

醜状障害とは、交通事故によって頭や顔、首や腕、足など日常の生活で目に見える部分へ大きな傷跡が残ってしまった場合に、その傷跡を後遺障害として認定するものです。どの程度の傷跡から対象になるかは「人目につく程度以上の大きさ」と規定され、瘢痕(いわゆる傷跡)、線状痕(切り傷や手術の跡)、組織陥没(身体の組織のくぼみ)、色素沈着による黒褐色の変色、色素脱失による白斑などが後遺障害等級認定の対象となります。

 
醜状障害の認定可能性のある等級
等級 症状
外貌 7級12号 外貌に著しい醜状を残すもの
9級16号 外貌に相当程度の醜状を残すもの
12級14号 外貌に醜状を残すもの
上肢・下肢 14級4号 上肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの
14級5号 下肢の露出面に手のひらの大きさの醜いあとを残すもの

醜状障害が後遺障害認定された場合の賠償金額の例

40歳(就労可能年数27年)で
年収600万円の会社員の場合

※ 入通院慰謝料、休業損害、入院雑費、治療費・交通費等の金額が増額される可能性があります。
※ 具体的な事情によっては、金額が大きく異なりうるものです。

  •  基礎収入:600万円
  •  就労可能年数に対応するライプニッツ係数:14.643
7級12号が認定された場合
具体的な症例

外貌(日常生活で目に見える、頭、顔、首などの部位)が、以下のⅰ)~ⅴ)のいずれかの状態となったものは7級12号に該当します。

  • ⅰ)頭にてのひら大(指の部分は含まず)以上の傷あと残った状態。または、頭がい骨が手のひら大以上に欠けてなくなった状態(ただし、その部分に人工骨がはめ込まれていれば、等級の対象外です)
  • ⅱ)顔にニワトリの卵より大きな傷あと、または、10円硬貨より大きな窪みが残った状態
  • ⅲ)首にてのひら大以上の傷あとが残った状態
  • ⅳ)耳の軟骨部の2分の1以上が欠けてなくなった状態
  • ⅴ)鼻の軟骨部の全部又は大部分が欠けてなくなった状態
後遺障害の慰謝料 1000万円
後遺障害の逸失利益 4920万480円
=600万円(年収)×0.56(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 5920万480円

9級16号が認定された場合
具体的な症例 原則として、日常生活において人の目に触れる程度に、顔に長さ5cm以上で線のような傷跡を残した状態
後遺障害の慰謝料 690万円
後遺障害の逸失利益 3075万300円
=600万円(年収)×0.35(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 3765万300円

12級14号が認定された場合
具体的な症例

外貌(日常生活で目に見える、頭、顔、首などの部位)が、以下のⅰ)~ⅴ)のいずれかの状態となったものは12級14号に該当します。

  • ⅰ)頭にニワトリの卵より大きな傷あとが残った状態。または、頭がい骨がニワトリの卵より大きな面積で欠けてなくなった状態(ただし、その部分に人工骨がはめ込まれていれば、等級の対象外です)
  • ⅱ)顔に10円硬貨より大きな傷あと、または、長さ3cm以上の線のような傷跡が残った状態
  • ⅲ)首にニワトリの卵より大きな傷あとが残った状態
  • ⅳ)耳の軟骨部の一部が欠けてなくなり、顔の見た目が変わった状態
  • ⅴ)鼻の軟骨部の一部が欠けてなくなり、顔の見た目が変わった状態
後遺障害の慰謝料 290万円
後遺障害の逸失利益 1230万120円
=600万円(年収)×0.14(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 1520万120円

14級4号が認定された場合
具体的な症例 手のひら大(指の部分は含まない)の醜い傷跡が、肩の付け根から指先の露出面にかけて残った状態。
後遺障害の慰謝料 110万円
後遺障害の逸失利益 439万2900円
=600万円(年収)×0.05(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 549万2900円

14級5号が認定された場合
具体的な症例 手のひら大(指の部分は含まない)の醜い傷跡が、太ももの付け根から足の背の露出面に残った状態。
後遺障害の慰謝料 110万円
後遺障害の逸失利益 439万2900円
=600万円(年収)×0.05(労働能力喪失率)×14.643(ライプニッツ係数)
合計 549万2900円

醜状障害の症状

  • 外貌

    外貌とは、頭部、顔面部、首のように、日常生活において普段から露出されている部分のうち、腕や足以外の部分,つまり,手足以外で人目に触れる部位のことを指し、醜状障害の対象となっています。

  • 上肢・下肢

    腕の部分を上肢、足の部分を下肢と呼び、腕の場合はひじ関節以下(手指を含む)、足の場合はひざ関節以下(足の甲を含む)が日常生活において露出する部分とされ、醜状障害の対象となっています。


醜状障害の後遺障害等級について

外貌における「著しい醜状を残すもの」 7級12号

醜状として規定されるのは、原則として以下のいずれかに該当し、人目につく程度以上の大きさと規定されています。

頭部 手のひらの大きさ(指の部分は含めない)以上に渡る瘢痕、または頭蓋骨部分に手のひら大以上の欠損がある場合
顔面 ニワトリの卵程度の大きさ以上の瘢痕、または10円硬貨より大きな組織陥没 がある場合
頚部(くび) 手のひらの大きさ(指の部分は含めない)以上に渡る瘢痕

外貌における「相当程度の醜状」(9級16号)とは?

7級のものより軽微な、顔面部に長さ5cm以上の線状痕が人目につく程度以上にある場合を原則としています。

外貌における単なる「醜状」(12級14号)とは?

原則として以下のいずれかに該当する場合で、人目につく程度以上のものを指します。

頭部 ニワトリの卵程度の大きさ以上の瘢痕、または頭蓋骨部分のニワトリの卵程度の大きさ以上の欠損
顔面 10円硬貨より大きな瘢痕、または長さ3cm以上の線状痕
頚部(くび) ニワトリの卵程度の大きさ以上の瘢痕

醜状障害で逸失利益が認められることもあります

加害者の保険会社から、「醜状障害についての逸失利益は認められていない」や、「醜状障害については慰謝料しか支払えない」と言われることがあっても、そのまま受け止めてはいけません。たしかに、過去の裁判において逸失利益が否定された判例もありますが、逸失利益が認められた判例や、逸失利益分を慰謝料に加えて判断した判例もたくさん存在しています。

醜状障害だからといって、逸失利益がまったく認められないということはないのです。逸失利益が認められるかどうかは、醜状の部位・程度だけではなく、被害者の年齢・性別・職業などさまざまな要素を考慮して検討されます。保険会社から言われるままに、損害項目に逸失利益が一切含まれていないという免責証書に署名をしてしまうと、本当ならもらえたかもしれない逸失利益を失ってしまいます。


顔面醜状は男性でも認められます

過去の裁判においては、男性の顔面醜状について逸失利益を基本的に否定していました。このことは、同じくらいの醜状であっても男性と女性では被害者が受ける精神的苦痛に差があるはずという考えが元になっていたと思われます。

しかし、近年ではこのような考えは法の下の平等を定める憲法に反するとされ、後遺障害の等級認定の基準も男女差がないように改正されました。十分に立証を行うことができれば、男性でも逸失利益を請求することは可能です。

後遺障害等級認定の判断は弁護士にご相談ください

弁護士醜状障害は「見た目」ということもあり、等級認定を判断するためにはたくさんの判断要素があり、判定基準が明確に規定されているとは言い切れません。

お悩みの方は、ぜひ当事務所までご相談いただければと思います。現在の状態が等級認定に該当可能かどうか、過去の事例などを踏まえて弁護士が適切に判断いたします。

ご相談に当たっては、傷痕の部位や大きさを正確に測定した資料や医療機関・専門医の診断書等があると、より正確なご案内が可能となります。


醜状障害の解決事例

事例:6 女子短大生の顔面醜状と逸失利益が問題となった事例

提示額 約860万円
示談額 約1600万円 (1.86倍)
増額額 約740万円増額
傷病名・受傷部位 顔面皮膚欠損創,顔面打撲,顔面肥厚性瘢痕,顔面外傷性色素沈着
解決方法(示談・訴訟) 訴訟(和解)

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